解説・読み下し |
著・筆者不詳。成・弘化元年ごろ。内・弘化元年七月二日、オランダ国王の書翰を携えたコープスの軍船が入港し、八月二一日大波止に上陸し、長崎奉行伊沢美作守と会見。国王の書翰はヨーロッパ情勢について述べ、中国の阿片戦争の二の舞をしないよう日本の開国をすすめるもの。八月二二日封のまま江戸へ送られる。一〇月一〇日使節及び甲比丹が立山役所によばれ、江戸の書翰が与えられる。同一二日に幕府からの贈り物を与え、出帆を命じる。この図は一〇月一〇日立山役所へ呼ばれた際の一行の訪問の模様を描いたもの。出島表門→江戸町→大波止→西役所→外浦町→大村町→本博多町→堀町→本興善町→豊後町→桜町の模様を描き、桜町の一行は日本人の警備にとりかこまれ、百余名が描かれている。中にはオランダ人楽器バンドを含んでいる。町筋の役所や番所、主な屋敷を描き、番所のおもてには屏風を立て武具を拵え、たれ幕をめぐらしている。一巻、36×603センチ、彩色。(『長崎県の郷土史料』p.192)
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