長崎学研究の成果の一環として、長崎歴史文化博物館では、県内各地の歴史や文化を紹介する小企画展「ながさき地域シリーズ」を地域の研究者等と連携し実施してきました。
本展は、長崎・佐賀を中心とする肥前窯業圏が、平成28年に日本遺産「日本磁器のふるさと肥前―百花繚乱のやきもの散歩」として文化庁から認定を受けたことを記念し、長崎県で産出されてきた磁器である三川内焼・波佐見焼を紹介するものです。
三川内焼は平戸藩の御用窯として高品質のものを多く制作しました。特に、卵の殻のように光にかざすと透けて見えるほど薄い「卵殻手」のコーヒーカップは、幕末の頃からオランダ人に人気があり、輸出の対象となっていました。一方、波佐見では1680年代から大村藩の管理下において「くらわんか手」と呼ばれる日用品の碗や皿を国内向けに大量生産しました。18世紀後半代に発展した流通網に乗って各地に広がり、「くらわんか手」の使用は全国に定着しました。本展では佐世保市教育委員会と波佐見町教育委員会のご協力を得て、三川内焼約15点、波佐見焼約10点を展示・紹介します。
※本展は「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」と同時開催する小企画展です。


三川内・波佐見の位置


 

日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、平成27年度に創設されました。陶磁器を製作するための自然環境に恵まれた長崎・佐賀にまたがる肥前窯業圏は、江戸時代初期より磁器のふるさととして発展し、現在に至っています。


◎三川内(みかわち)


三川内

 


長崎県佐世保市の東端部に位置する三川内地区。江戸時代は平戸藩に属し、東は佐賀藩有田(佐賀県有田町)、南は大村藩波佐見(長崎県波佐見町)に隣接しており、近世肥前窯業の主要生産地の一つでした。
三川内焼は平戸藩領内で生産されたやきものとして、江戸時代において「平戸焼」の名称で呼ばれることが多く、明治時代以降になると生産地の名称から「三川内焼」の名で定着していきました。

◎波佐見(はさみ)


波佐見

 


長崎県中央北部に位置する波佐見町は、長崎県佐世保市・川棚町、佐賀県有田町・武雄市・嬉野市と隣接する県境の町です。中央は平野部、周囲は小高い山々が巡り、とくに南東部の山々からは磁器の原料となる陶石が産出します。
波佐見では、約400年前にやきものの生産が開始され、以降、江戸時代を通じ、陶石の産出を原動力として、また、大村藩の庇護の元、有田(佐賀藩)、三川内(平戸藩)とともに、近世肥前磁器生産の中核的産地として発展を遂げました。

講演会情報

 


展覧会開催記念講演会
「三川内焼、波佐見焼の特徴について」


 日時: 2016年11月27日(日)13:30〜

 講師: 溝上隼弘氏(佐世保市教育委員会 学芸員)

      中野雄二氏(波佐見町教育委員会 学芸員)

 会場: 1階ホール

 定員: 140名

 ※聴講無料、事前申込み不要

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会  場 長崎歴史文化博物館 (〒850-0007 長崎市立山1−1−1) 3階企画展示室
会  期

2016年10月29日(土)〜12月4日(日)

開館時間 10:00〜18:00(最終入館17:30)

休館日   なし

料  金 無料

 ※「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」観覧料は別途必要です
主  催 長崎県、長崎歴史文化博物館
協  力 佐世保市教育委員会、波佐見町教育委員会
 

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